電波腕時計が売れている。
2003年までの2年で市場規模は10倍。
2004年はさらに2倍近い売り上げ。
業界は「クオーツ商品化以来の革新」と沸いている。
電波腕時計は福島と九州(福岡と佐賀の県境)にある送信所から送られる
標準時間の電波を受信して,時刻を自動修正する機能を持つ。
送信所のコアとなるセシウム原子時計の精度は「誤差が10万年に1秒」という
驚異的なものだ。10代のころ愛用していたクオーツ時計の精度,月差10秒
という正確さには驚いたものだが電波時計の精度はそれとは比較にならない
ほどの天文学的な差異である。
いまや電波時計は日本の独自技術といった感もあるが,先駆者はドイツである。
1986年,独Junghans Uhren社が世界初の電波時計を発売,1990年には
これも世界初の電波腕時計を発売している。
機械式では電波式の比較にならないかもしれない。
でも精度の点で言っても、あくまで比較すればのことで、一日に10秒や20秒の
ズレはほとんどの場合で許容範囲に収まるだろう。
朝起きて出かける前に時報で時刻を合わせる。
それだけで一日正確な時を刻んでくれるだけでなく、そんなちょっとした「儀式」が
持ち主のプライドをくすぐり道具である時計との距離を縮め一層の愛着へと
結びつくのである。
もちろん機械である以上、メンテナンスフリーというわけにはいかない。
日々の手入れも必要だし、定期的なオーバーホールも必要となる。
しかしそれさえ怠らなければ、子や孫の時代まで受け継がれる一生もの
となるのが大きな魅力なのである。
機械式腕時計と過ごす意義。
時間に追われがちな毎日をおくる我々にとって、精度の高い時計はかえって
息苦しさを感じさせてしまうもの。
しかし機械式腕時計ならば、淀みなく進む針の動きを見ているだけで心が落ち着く。
1秒と1秒の間にも時間が存在するという、そんな当然のことすら忘れがちな我々に
新鮮な感動を与えてくれるのだ。